京都の民泊問題を考える。無許可営業から浮き彫りになる光と影。
2016/01/13
国際的な観光地として発展を続ける「古都・京都」は、日本文化の象徴と言っても過言ではないでしょう。
食文化、伝統工芸、歴史遺産などあらゆる分野で訪れる人々を魅了し続けています。
しかし、国内外を問わず訪れる多くの観光客を受け入れる宿泊施設が追い付いていないという現状です。
その結果、無許可で一般のマンションや空き家などに観光客を宿泊させる業者の書類送検が相次いでいます。
違法であるのは言うまでもありませんが、日常生活を送る環境の中に観光客が入ってくるという状態なので当然のように問題は起こります。
ホテル不足を補う新しいモデルとして期待されましたが、一筋縄ではいかないようです。
今後も増え続ける事が予想される観光客をどう受け入れていくかは、京都の大きな課題として突きつけられているようです。
民泊がブームになった経緯
民泊とはもともと宿泊施設ではない部屋や民家に観光客を宿泊させるというビジネスです。
海外では昔から存在するビジネスなのですが、日本国内では近年に普及し始めました。
普及し始めた経緯は訪日観光客の大幅な増加や空室対策の必要性のタイミングが合致したことが大きな要因です。
それに加えて安倍首相が規制改革会議で、一般の家に客を泊めて料金を取る民泊の拡大に向けた規制緩和を検討するように指示を出した事も拍車を掛けました。
確かに、多くの宿泊客を受け入れることで京都の経済に多大な効果をもたらし、空室や空き家を活用できる方法だけを考えると申し分ない制度です。
実際、大阪府で民泊を認める条例が可決されています。と言っても多くの自治体は公的に認めていないので、現在営業している民泊施設は「闇ホテル」として運営されているのが現実です。
当然、「闇ホテル」としての営業で深刻な問題が浮き彫りになってきています。以下は実際に摘発されたケースや、民泊施設の周辺で生活されている住民にどのような問題が起こっているかをお伝えしていきます。
無許可で民泊施設を営業し摘発
最近の摘発事例に、京都市のマンションを無許可で中国人観光客を宿泊させて料金を取ったとして、都内の旅行会社役員と山形市の旅行代理店役員が京都府警生活経済課などに事情聴取を受けました。
2人は7月から10月の間に、京都市内のマンションの空き部屋に300人以上の中国の団体客を宿泊させた疑いで書類送検されました。民泊の立件は極めて異例ですが、2人が営利目的で多数の客を集めており悪質と判断したもよう。
同課によると、5階建てのマンションの36部屋を山形市の会社が7月より3か月間賃借して上海の旅行会社の観光客の宿泊先に営業していた。
この期間の実際の宿泊人数は約3000人とみられている。また、同マンションに日本人を含む観光客を宿泊させ利益を得たとして、京都市伏見区の不動産管理会社の男も書類送検しています。
実際に摘発されていない事案も考慮すると、かなりの観光客を無許可で宿泊させている事が予想されます。
では、地域住民の日常の生活エリアに観光客が入り込むことでどんな問題が起こっているのでしょうか!?
民泊による住民トラブルの事例
ホテル不足が深刻化している京都。そんな中、民泊を仲介するサイトが存在する。京都市だけでも約2500件の物件を掲載している。
その物件の周辺で生活する住民からは11月末までに91件の通報が市に寄せられた。
通報の内容は、
●深夜に大声で騒ぐ
●ゴミ出しのマナー
●物を壊す
●どこでも記念撮影をする
など様々です。自分自身の生活するエリアがこのような状態になったと仮定したらどうでしょう・・・
参考に海外でも活用されている民泊のトラブル事例は、
●部屋を汚される
●家具や家電を壊される
●大騒ぎされて近所からの苦情
など、このような事例は中国人に限らず欧米人でも同じようです。
特異な事例では、部屋を貸したら乱交パーティーを開催されたという事例もあるようです。
要は、日常生活を送る生活エリアに、非日常のハイテンションの旅行者が入り込めば問題が起きるのは火を見るよりも明らかではないでしょうか!?
まとめ
増加する観光客を出来るだけ受け入れ地域の経済の活性化や文化の発信を行うことも重要です。
しかし、その地域の生活や風紀、治安を犠牲にしてまでも行うべき事なのかを考える必要があります。
何事もブームというのは去っていきます。その後に犠牲にした物の代償が取り返しのつかない事態にならないよう目先の利益に走らない施策が求められているのではないでしょうか!?